それでもおまえらは、俺を合コンに誘うのか?
バックスクリーンや球場自体の形は違うものの、そのスペックは明らかに甲子園球場を意識していると思われる。
練習時に客席に人でも入ろうものなら、実戦さながらの臨場感を得られることだろう。
勿論歩いて四分の場所に住んでいる和俊は、ここに球場があることは知っていた。だが、それが岡山城東商野球部の専用グランドであるとは夢にも思っていなかったのだ。
もしこの球場が専用グランドであると知っていたなら、専大玉野などには目もくれず、始めからこの学校を目指していたかもしれない。
これほどのグランドを持つ学校が、基礎練習設備に対して手を抜く訳がないのだから。
そして、全く野球を知らないようなド素人を監督に立てる筈がないのだから。
交通費が全くかからない。ただそれだけの理由で選んだ無名公立校に、和俊は大きな期待を膨らませていた。
担任と落ち合う時間が近付いてきたため、和俊はその足を校舎へと向けた。上履きに履きかえ昇降口を抜けると、すぐ右側に『職員室』と書かれた札が見える。