それでもおまえらは、俺を合コンに誘うのか?
……、……、……、……
一分二分と時間だけが過ぎていく。おそらくこの沈黙の中に、四者四様の思惑が巡らされているのだろう。
「オヤジ、わしの最終学歴は高校中退っちゅうことに……、なるんか?」
プロテストの受験資格は高卒以上となっている。高校中退では、プロ野球選手への道を完全に閉ざされることになってしまうのだ。和俊がこれを気にしない訳がない。
「問題無い。専大玉野は辞めてもらわんにゃあいけんが、公立を出さすぐらいの蓄えならある」
「ほうかぁ……。じゃあ、東商で決まりかのう……」
東商、その正式名称は、岡山県立岡山城東商業高校という。剣持家から徒歩四分という立地条件だ。
「あたしは……、辞めにゃあいけんね、短大……」
「すまん乙姫……」
「ええよええよ。オトンが悪い訳じゃないんじゃけえ。そがな九十度にピシッと曲がらんでやぁ」
短大生である乙姫には、作法に則った九十度のお辞儀で退学させる旨を告げる。それを乙姫は、笑って許した。