それでもおまえらは、俺を合コンに誘うのか?
「名門で三年間ずっと背番号10とか13とかで燻っとるよか、公立行ってエースんなるほうがよっぽどええけえ」
和俊にとっての今年の目標は、打倒大榎ではなく、背番号の獲得だったのだ。彼にとって大榎はあまりにも強大過ぎたのである。
「大榎敵に回してまうのは恐てぇが、ジャイアントキリングで甲子園行ったらプロに対するアピールにもなるしのう」
全くの無名校が名門校を倒して甲子園初出場を遂げる。このパターンでプロ入りしたプロ野球選手は数多い。確かに大榎から点を取ることができるなら、アピールポイントにはなるだろう。
「わし明日退学届け出してくるけえ、オヤジは編入手続きしといてや」
少し淋しげな笑みを浮かべて、和俊は話を締めた。
「ほんまにすまんかった」
三度利明が頭を下げる。
「ヘマやってクビんなったんじゃったら一発ブン殴っとるとこじゃがのう、リストラや倒産ならオヤジは何も悪ぅないけえ」
そう、これらの責任を問われるべきなのは、経営者の経営手腕なのである。