奥に眠る物語
オーナーは石を目に近付けてじっとみている。

だが、あまり良い反応は見る限りない。


「・・気のせいじゃないか? もやもやなんて見えねぇ!!」

そう言って溜め息をつきながら、ネックレスを投げてきたので私は慌ててキャッチした。

なんとか上手く取れたが、傷はないか一応チェックする。

その際、石を確認するがやはりオレンジ色のモヤモヤが見える。

私は眉間にシワを寄せながらその石を見つめた。

「ほら、眉間。シワ寄ってると不細工な顔になるぞ」

「なっ!! 酷くないですかその言い方!!?」

反論しながら顔を上げると、オーナーはニヤニヤしながらコーヒーを2つのカップに注いでいた。

コーヒーの香りが部屋に広がる。

オーナーがカップを私に差し出してきたので受け取って、湯気のたっているコーヒーを眺めた。

「・・・このネックレス預けてきた人、私の紅茶美味しいって言ってくれたんです」

「っ?! げほっ!!!」

「わっ ちょっと川上さん?!!」

オーナーがいきなり飲もうとしていたコーヒーを噴き出したので、慌てて立ち上がる。

「・・お前それマジ?」


オーナーは口を手の甲で拭って、一息つく。


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