奥に眠る物語
「私は皐月。 皐月朱音<サツキアヤネ>っていいます」

「では皐月 聞きたいことがあるのだが」

そういって彼は私を上目遣いで見てきた。

うぅ、かっこいい。

彼の少し長めの前髪から覗く瞳にやられた。

「明日、予定はあるかい?」

「あした・・ですか」

明日は日曜日。バイトもないし、家でゆっくりとくつろごうと考えていた。

だから、結論から言うと予定はない。

「・・いえ、特にはありませんが」

「なら調度いい」

なにが調度いいのか全く分からない。

誰か、彼の翻訳してください。

「実は、先日友人からちょっと相談事を頼まれてね。 それを手伝ってくれるとうれしいのだが」

「・・・私が、ですか?」

「そう。 キミが、だ」

彼は少し冷めてしまった紅茶を飲みながらそう言った。

断る理由はないので、とりあえず話を聞いてみる。

「内容次第で、決めてもいいですか?」

「うん。実はね・・」

彼の話を簡単にまとめるとこうだ。

友人さんの恋人が突然いなくなったらしい。

捜しても見つからなくて途方にくれている、と。

「その手の話は警察のほうがいいのでは・・・?」

私がそういうと、彼は首を横に振ってそれを否定した。

「いや、そこまで大事にする必要はないよ んで。皐月は手伝ってくれるのかい?」



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