奥に眠る物語
休日
電車を乗り継いでやっと目的地に着いた。

・・・もぅ帰りたい


電車はやはり疲れる。

私は改札を出て、辺りを見回す。

彼がくれた紙を見て待ち合わせ場所を確認する。

改札出れば分かるって・・・少しアバウトすぎじゃない?

一人、笑いを堪えながら探すと明るい空色が視界に入った。

多分、間違いない。

人を掻き分けながら、近付く。

「つ、憑雲さんっ!!」

私が彼の名前を呼びながら駆け寄ると、彼は少し微笑んで近付いてきた。

「やぁ、今日はありがとう」

やはり彼だった。

相変わらずの空色のロングコートで汗一つかいていない。

「いえいえ。 ところで私は何をすれば良いんですか?」

「あぁ、それは歩きながら話すよ」

そう言って彼が歩き出したので、つられて歩き出す。

隣りに立って歩いてみると、彼はとても背が高い。

いつも座っているのを見ていたせいか尚更そう感じさせる。

「・・で、キミは僕と一緒に来てくれればいいから」

「うぇっ? あ、はい!!」

どうしよう。
彼に見とれてて聞いていなかったなんて言えない。

一応、返事だけしてみたけど彼がどうでるか。

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