奥に眠る物語
「聞いてなかったでしょ? すっごい慌ててる」

やはりバレたか。

彼に隠し事は出来ない気がする。

「あの・・・ごめんなさい その「つくもおおおおおお!!!!」

「ぐうぇっ!!」


歩きながら言い訳を探しつつ話していると、いきなり後ろから声がしたと同時に彼が蛙が潰れたような声を出した。

状況が掴めず、彼を見上げると首に着物を着た青年が抱き付いていた。

「離れ、ろ 李玖」

李玖〈リク〉と呼ばれた青年は渋々離れた。

左目が前髪で見えないが、けっこう格好いい。

長めの銀髪を横で結んでいて和服ととてもあっている。

「そんなあからさまにいやな顔せんといて! 俺マジ泣きそう」

「勝手に泣いてればいいじゃないか 僕には関係ない」

「ちょ、何やその態度!! 親友に対する態度ちゃうやろ」

関西弁で捲し立てる李玖をあからさまに嫌そうな顔で払う彼。

そんな光景に圧倒されて私は何も言えなかった。

「・・ほら、李玖のせいで彼女困ってるじゃないか」

「へっ? ああの、えっと・・あはは」

いきなり話をふられてもついていけない。

私はとりあえず笑ってその場を過ごした。

「あれ、珍しいこともあるんやな。 ツクモが誰かと一緒なんて」

「そう言うお前こそ。 和華と一緒じゃないなんて珍しいな」

彼がそう言うと、李玖はハッとした瞬間、目には涙を溜めていた

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