奥に眠る物語
「あの昔話の鶴の話といい、ホントに人間って見るなって言われたものに首をつっこみたがるよね 言われたことくらいちゃんと果たせないわけ?」

「そ、それは「憑雲さん! そんなこと言わんといて!!」

今にも泣きそうなサユに助け船をだしたのは、和華だった。

それに彼は驚いたようで、言葉を失っていた。

それを好機と和華は踏み出た。

「そもそもウチらとサユを比べるのが間違ってんねんで! アンタの常識が世間の常識とはちゃう!! 履き違えんなや!!!」

「・・・おぉ、スゴい」

私はそうつぶやき、一人で拍手をしてしまった。

拍手の音に我にかえった和華は、小刻みに震えながら顔を赤くして李玖の後ろに隠れた。


「んー、まぁそういうワケやさかい、今日のところはこれくらいにせえへん?」

「・・しょうがないね。 和華の怒ったとこが見れたし、それで良しとしてあげるよ」

李玖がへらへらと笑って和華をかばうので、彼は諦めたのかそう言って許した。

多分、ひねくれているがそれが彼なりの許し方なのだろう。

「お、怒ったとこってなんやねん ウチ恥ずかしゅうてもう無理や!!」

そう言って和華は蜃気楼のように消えていった。

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