奥に眠る物語
「ホントだ・・ちょっと残念かも」

手を添えてみても空にあるのは星だけ。

すると、いつの間にか和華が隣にいた。

「次は、三十年後らしいんやて」

「そっかぁ・・私もう大人じゃん」

あはは、と笑うと和華が淋しそうに笑い返してくれた。

「そう、やな アンタは・・・」

「・・・うん」

そうだった。

彼らは・・李玖と和華は年を取らない。

壊れるまでずっと、ずっと永遠を生き続ける。

知り合っても、自分たちを知るものはいなくなってしまう永遠を。

「大丈夫やで、俺らがアンタを忘れない限りアンタも永遠を行き続けられるんやさかい」

「まだ死んでもないのに失礼じゃない? 李玖」

にこやかにさげすむような目で李玖を見つめる彼。

多分、彼らはきっと毎回こんな感じなのだろう。

懐かしそうに見ている和華をみていてそう思った。

「さ、そろそろ帰ろうか ここで朝日を拝むのもいいとは思うけどね」

「せやな! 和華、先行くでー?」

「あ、ちょ!! 迷子になるんは勘弁やー!!!」

さっさか森に入っていく李玖を追いかけ、あっという間に見えなくなってしまった。

風が、木々を揺らして木の葉が擦れあう音がする。

急に静かになって、少しだけ淋しい。

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