奥に眠る物語
私の聞き間違いだろうか。

今、久遠が喋った気がする。

それよりも尻尾だ!!


なんで二本になってるの?!!

私の混乱を余所に、勝手に話を進める二人。

これは、話が終わってからのほうが良さそうな気がする。

「やっぱり、土地神さんでいらっしゃったんやな そんで狛犬がわりのお狐さんってとこか?」

「よく分かったな、つくも神のお嬢さん?」

『やっぱり犬は無理があったんですよ』

ススス・・・と席に戻っていく和華を見つつ、私は質問に走った。

「あ、あのっ! 土地神ってなんですか?」

「ん? あぁ、皐月には内緒にしてたからな」

「土地神さんはな、簡単に言えば土地を守る偉い方のことや」

主に神社に奉られているんやで、と和華が付け加えるように説明してくれた。

だが、私はこの辺りの神社は知らない。

「神社って、このへんでありましたっけ?」

「ああ。 まぁこっから1時間はかかるけどな!」

「・・・え」

正直、信じきれないが久遠のことといい、和華のことといい信じるしかなさそうだ。

「・・・川上さんと久遠って神社から離れて平気なんですか?」

オーナーはコーヒーを淹れながら頷く。
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