奥に眠る物語
「おい、真央 なにやってんだ 人様に迷惑かけてんじゃねぇぞ!!」

「あっ主!! なんで・・・」

低音の怒声が辺りに響く。

正直言って、ものすごく怖い。

男の人の声ってすごい・・・

「あ、勘違いしてるかもだけど真奈は女だからね?」

彼の補足に耳を疑った。

・・・あんなに男らしい人が女の人だなんて!!

よ、世の中・・・広いなぁ・・・

「まったく、オレから離れるからどこ行ったかと思えば・・ 何人間襲おうとしてんだ、つくも神失格だぞ」

「だって、そいつが主を連れて行っちゃうからぁ」

「それはお前が物騒なもん持って走るからだろうが!!」

真奈の怒声に、真央はヒィッと息を飲みながら頭を腕で守る。

それと同時に拳がその上に降りかかり、石と石がぶつかりあうような鈍い音が響いた。

「手っ加減・・してよぅ」

「はっ、男のくせにだらしねぇな」

溜め息をついて、彼のほうへ振り向く真奈。

私は彼女の切れ長の瞳に少しだけドキッとしてしまった。

怖いけど・・・格好いいかも。

「すまない。 片割れがお前らに迷惑かけたみたいで」

「まったくだよ・・・と言いたいとこだけど」

大袈裟に肩をすくめて、ポケットに手を入れて何かを取り出す。

手に出したのは小さな二つの指輪。

それらは同時に人の形を成した。

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