奥に眠る物語
だが、真奈は首をちょっとひねってそれをかわしてしまった。

タンッと地面を蹴って距離を縮める。

目と鼻が今にもつきそうな距離。

引きつり笑う李玖に、ニヤリと挑戦的に笑う真奈。

「・・・少し反省しろ!」

下から上へ一気に振り上げ、李玖を切りつける。

見事にやられた李玖は悲鳴一つあげずにその場に倒れこんだ。

「り、李玖さんっ!!」

「お、おぉ和華・・・」

まるで今にも死にそうな顔をしながら、和華にすがりつく李玖。

和華は今にも泣きそうな顔で李玖を見据える。

「泣かんといてぇな 和華は笑ってて・・・」

「い、いやや ウチを独りにせんといて!」

「・・・とまぁ、バカ夫婦は置いといて。」

彼が心配なんかこれっぽっちもしてないような顔で、真奈を見る。

真奈が刀を一振りすると、刀は粒子となって空気中に混じって消えた。

「・・気が済んだよ ありがとな、憑雲」

「いやいや。 さ、そろそろ元の姿に戻ってくれるかな?」

「あぁ。 ・・真央!!」

「あ・・はい」

返事をしながら駆け寄る真央。

その声がなぜか上ずってるようなような感じがした。

もしかしてずっと泣いてた?
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