奥に眠る物語
真央と入れ替わりで彼が私に近づいてきた。

「・・見た?

「・・・ハイ」

何かを聞かれなくても大体分かる。

苦笑いして答えると、彼もまた苦笑いを返してきた。

「よし。 それじゃ、また機会があったら逢おうな」

「ああ。 期待しないで待ってるよ」

「一言余計だっ!!」

言い終わると同時に、真奈は先程の日本刀に戻った。

それに続いて真央も鞘へと形を成す。

薄いガラスを落としたような透き通った音を響かせながらそれらは地面に落ちた。

彼はそれらを拾い上げ、刀身をゆっくりと鞘に収めた。

「よし。 やっと終わった・・・」

「長かったですね・・」

気がつけば、夕日はあっという間に沈み、夜が呼ばれていた。

上を見上げてみると、あいにくの曇り空で星は見えなかったが。

「さて。 家まで送るよ 行こうか」

「え、いいんですか?」

「遠慮しないで。 さ、早く」

「ハイッ!!!」

・・・あれ何か忘れてるような気がする。

ま、いっか。
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