貴方が忘れられない。
 
 



「大事な、幼馴染だよ」

馬鹿、流の馬鹿。笑顔が固まった気がした。期待してたわけじゃない。分かってたけど、別れ際にこれはないと思う。酷い人。でも好きよ。

「わたしは、料理できないからあいちゃんが羨ましいな」
「練習すれば誰でも出来るよ。あーあ、私もう流にご飯作るのやーめた! 夏休みの後も飢え死にさせないように美結は特訓だね」

えっ! と固まる美結に、はあ? って顔した流。見る見るうちに頬を染めた美結は本当に可愛い。お似合いな二人。仲もよくて、二人とも優しくて。

やっぱり私なんかがいる場所じゃなかった。

「明日から夏休み流のご飯は美結にかかってるね」

泣きそうにあいちゃ~んと縋り付く美結に苦笑いな流。もう昔に戻れないのだと痛感した。まだ、三人が親友だったあの頃に縋る私はきっと醜い。駅が見えてきて、ばいばいと別れた美結を見送り二人になる。

今日でこれも最後。




< 12 / 17 >

この作品をシェア

pagetop