貴方が忘れられない。
変えたくないと思う。何一つ欠けてはいけない光景。私が我慢すれば、早く忘れられれば続くと保証される光景だ。無くしたくなんかない。
三人で駅まで行き美結を見送ってから少し遠回りとなった自宅へと帰る。マンションに住んでおり、二階の一番左端が私、その隣が流だ。家族ぐるみの付き合いで流はお母さんがいないゆえによく晩御飯に呼ばれて家にくる。お父さんは流と逆転の生活をしているそうだ。それでも休日に仲良くキャッチボールをしてるのよく見たりする。本当に仲の良い親子。
「最近さぁ、夕飯に呼ばれてないよな俺」
「そー?」
「お前の飯が恋しいよ」
私の家も父子家庭だ。お母さんは小学生の頃ガンでなくなった。家はガン家系なのだと幼い頃から言い聞かされている。気を付けなさい、と。
「美結につくってもらいなよ」
ケラケラと笑いさっき買ったアイス棒をパクリとくわえる。
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