もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
「放せよ。
2年の教室は、あっちの棟だろ?」



舞の腕を。

さりげなくはずそうとする手が震え、声がうわずる。



「光ったら、冷たいのっ」



舞は、男心をくすぐる笑顔を、オレに向ける。



「ねぇ・・・光?」



首を斜めに傾けて。


赤い唇をゆっくり開く。



「もう一回つきあっちゃおうか。
あたし達?」



無邪気に、オレの心の傷をえぐる。

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