もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
公園を抜けた小高い丘の上で。


あたしは、愛しい人と対面する。




「龍。
久しぶり」



返事のないことに、少し寂しくなりながら。



あたしはかばんからタバコを取り出し、火を点ける。



「どう?
おいしい?」


返事のない空間で、ビールの缶を開け、また同じ言葉を繰り返す。



「どう?
おいしい?」



大きな墓石が並ぶ隅。


小さな小さな石の前に。


お線香と。


来る途中で摘んだ小さな花を置く。

< 108 / 708 >

この作品をシェア

pagetop