もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
「でも。
俺たちの過去は、中途半端なものじゃない。
温かい家庭でぬくぬく育った奴らに、理解できるレベルじゃない」
「・・・・・・」
「龍なら仕方がないって、ずっと思ってきた。
でも、龍以外の男に、おまえを渡すつもりはない」
すぐ近くで哲也の声がして、あたしはびっくりして振り返った。
「藤澤光って奴に渡すくらいなら、おまえを俺のものにする」
哲也の声には、抑揚がなく。
哲也の目には、生気がなく。
あたしはこのとき初めて、哲也を怖いと思った。
俺たちの過去は、中途半端なものじゃない。
温かい家庭でぬくぬく育った奴らに、理解できるレベルじゃない」
「・・・・・・」
「龍なら仕方がないって、ずっと思ってきた。
でも、龍以外の男に、おまえを渡すつもりはない」
すぐ近くで哲也の声がして、あたしはびっくりして振り返った。
「藤澤光って奴に渡すくらいなら、おまえを俺のものにする」
哲也の声には、抑揚がなく。
哲也の目には、生気がなく。
あたしはこのとき初めて、哲也を怖いと思った。