もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
雨の中。


雨宮麻衣の姿を見つける。


激しい雨粒が落ちてくるのを、避けようともせず。


わざとその雨粒に打たれるかのように空を見上げ、公園の真ん中に佇む。



「おまえさ。
雨宿りって言葉・・・知らないの?」



オレは、自分がさしてきた傘を雨宮麻衣の頭の上にかざし、苦笑する。



「いまさら・・・か?」



「・・・・そんなことない。
ありがとう」



雨宮麻衣は左手で胸を押さえながら素直に笑って、オレを見つめる。

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