もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
雨宮麻衣の。


心配そうな、怯えたような表情に。


本当は言いたくない言葉を、口にする。





「何も気にすることはない。
だって。
今この家にいるのは、オレとおまえの二人だけ・・なんだから」




「え?」



「オレの家も、いろいろ複雑・・・なんだ」



口元には笑いを浮かべても。



オレは無意識に、雨宮麻衣から目を逸らした。




表情から感情を読み取られないように、雨宮麻衣に背を向け、ドアを閉めた。
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