もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
ぼんやりと。
見るともなしに、藤澤光の顔を眺める。



すると、



「なぁ・・・
約束できる?」



ギシっという音と共に、氷のように冷たい光を瞬かせ、藤澤光があたしを上から見下ろした。



それは“約束してくれ”という、藤澤光の悲痛な叫びにも聞こえた。



“もう、傷つきたくない”



ゆらゆらと揺れる瞳は、そう言っているようで、あたしは即答したかった。



『約束するよ』…って。



でも――…
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