もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
こぶしを握り、ぎりっと唇をかみ締めたあたしに。






「…オレの両親さ。
死んだんだ」




藤澤光が、唐突に切り出した。




「え?」




驚いたあたしをチラリと見ながら半身を起こし、あたしの身体にふわりと布団をかけ、ベットの脇の写真をとって、あたしに見せる。








「一家心中」






闇へと落ちていくかのように、冷たく、暗く。
ぽつりと呟かれた、その言葉。
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