もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
刃をゆっくりと手首に当てる。


と同時によみがえる、懐かしい感覚。


昔……。


あの地獄にいたときにも、何度も、した。


悪い子の自分を、自分で戒めるために。


手首に流れる赤い血を見るたびに、自分を傷つけるたびに、ほんの少しでも許された気がした。


でも、それでも続く地獄の日々に。
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