もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
もう耐えられなくなって。


なんとか、地獄から抜け出したくて。


そのたびにあたしは、手首に傷を作った。


誰かに助けてほしかったから。


誰かに気づいてほしかったから。


でも……。


夏でも冬でも、部活がある日でもない日でも。


かまわず365日、リストバンドをつけていたあたしの手首にある傷に気づく人間なんて、誰ひとりとしていなかった。
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