もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
たぶん……いない。


そう思ったとき……心の糸がプツンと切れた。


“でも、たったひとり……。
リストバンドのことも……。
光は気づいてくれた”


そんな思いも……自分を止める手段には、なりえない。


それまでは、してはいけないことだと自分を止める自分の声に、耳を傾け、心をねじ曲げても従ってきたけど。


でも、それももう……無意味だ。


だって、糸は、もう……切れてしまったから。


だから、あたしは、ナイフを引いた。


なにもかも、終わりにしようと思ったから。


悩むことにも疲れ。


居場所を探すことにも疲れ。


謝ることにも疲れた。
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