もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
そんな自分勝手さも、それがどれほど人様に迷惑をかける行為かさえも。


麻痺していた頭のせいで、深く考えることもできず、あたしはそこでナイフを引いた。


痛みと薄れ行く意識と、無性な寒さの中。


あたしは、幸せを感じると共に、猛烈に後悔した。


生きることは、死ぬことよりも難しい。


だから、意味のあることなんじゃないかと。


そしてまた、死ぬことも、生きることよりも難しい。


だって、こんな局面でも、あたしは生きたいと願っているのだから。

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