もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
「だから、あたし。
この人のことだけでいいから、思い出したい!
逆に、この人のことさえ思いだせれば……。
他には、何にも思い出せなくてもいい!!」


雨宮麻衣は、痛々しいほど切ない瞳で、そう叫んだ。


その瞬間の……。


ネクタイをつかんで、オレの前に突き出した雨宮麻衣の手首の傷を……。


オレは……一生忘れないだろう。


「おまえ……。
手首……切ったのか……」
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