もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
「ごめん。
人違いだった。
オレは、君を知らないし。
もちろん、そのネクタイのことも、知らない」


オレは、フッと横を向いた。


食い込む指と、痛む心に耐えながら。


本当は……。


抱きしめて、許しを請いたかった。


そのネクタイは、オレのものだと。


おまえは、オレの彼女なんだと。


真実を……雨宮麻衣に、告げたかった。




< 379 / 708 >

この作品をシェア

pagetop