もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
「…………」


そう言った雨宮麻衣の手は、ものすごく冷たくて……。


小刻みに震えていた。


それなのに……。


どうして、オレなんかと、新たに始めようとするんだ?


自分の過去を知っていそうなヤツなら、とりあえずスルーした方が安全だろ?


そんな言葉が、思わず口から出そうになったけど……。


オレは、そんなことすら言うのを諦めた。

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