もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
「痛・・・・」


気が付くと、あたしは台所でしゃがんだまま、夕方をむかえていた。


「寝ちゃったんだ・・・」


痛む手や足をさすりながら立ち上がると、いつも通り、無意識に壁のネクタイに視線が止まる。


その瞬間……。


夢の恐怖がよみがえり、あたしは急いでネクタイから目を逸らした。


見ちゃいけない。


思い出しちゃいけない。

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