もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】
他人には、決して心をのぞかせることのないような、漆黒の瞳。


その瞳であたしを見つめたまま、静かにその人は、口を開いた。


「あなた、名前は?」


「雨宮・・・麻衣」


聞かれた質問に答えただけの、単純な会話。


それなのに……。


「・・・え?」


女の人は、顔をこわばらせて固まった。
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