もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】





――カサ……。



突然聞こえた、小さな物音。


その物音に、目を開けると……。


床に、赤いものが落ちていた。


でも……さっきまでは、なかったよ?


そう思いながら……、あたしの目は、光の手にくぎづけになった。


だって、光の手が……。


あんなに握りしめていて、どんなにあけようとしてもあかなかった光の手が……。


開いていたから。
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