spiral "again"

一瞬、目の前が真っ暗になった。

「嘘だ…。」

嘘だよ、そんなの


だって、今までずっと隣に居てくれたのに

隣に居ないのなんて、考えられないって言ってくれたのに



「嘘じゃありませんよ。海先輩ずっと相談してたんですよ。」


「嘘だよっ!」

私は楠木さんの言葉を消し去るように、大声で言った。


中庭に私の言葉がこだまする。

楠木さんは、そんな私を見てまた笑った。


「海先輩、ずっと悩んでるんですよ。

華先輩といたら、九年前のあの日が忘れられずに苦しいって。」



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