ぷらすちっくレンズ
だが、なんの因果か
オレが属する1年4組は
プレハブ旧校舎なのである。

なんでも、
建設も順調に進んでいた夏休みに、
問題が起きたとの事で、
建設が大幅に遅れ取り壊しおよび、
新校舎建設が遅れたとか。

どんな問題であるかは、
非公開となっており、
特別事件性がある訳もなく
世の中的には取り上げられる事はない。

どんな事情で遅れたのか
知らないが、少なからず新生活に
夢見た学生生活が心折られた事か。

大して期待を持たなかった割に、
他のクラスとの雲泥の差の扱いに、
我がプレハブ旧校舎を眺め、
新校舎のトイレを目指す渡り廊下。

中庭にたたずむ
一人の女子生徒を見つけた。

プレハブ旧校舎をじっとみつめている
後ろ姿は、
なにやら愛しげに
見つめているようにも見え、
物珍しい人もいるもんだと
思いながら渡り廊下を渡り終えようとした時に

『パッチ』

と静かな中庭にかすかに響いた。

「ん?」

音の方向を見ると、
先ほどの奇特なカメラを持っていた。

『パッチ』
『カシャ、カシャ..』

デジカメ、写メが全盛の時代に
子供の頃にかすかに覚えているこの音。
もしかして、使い捨てカメラ?
久しく見た事もないぞ、、
でも、それにしては使い捨てカメラよりは
カメラっぽいカメラだぞ、、、
デジカメ全盛期に、、使い捨て?

廊下を渡り終える事も忘れ、
不意にもその姿をみていると、
そのタイムスリッパーな生徒から声をかけられる

「なにか、よう?」

「あ、いや、あの」
「ボロ校舎が珍しいのかと
思う人がいるのかと。。」

「珍しい?」

短い会話の中で、なぜこれほどの
プレッシャーと罪悪感を覚え、
後ろめたさを覚えたのだろうか。。

「あなた、1年生?」

「はい、1年4組の沢田です。」

なんだろう、この威圧感。
いきなり、先輩に目を付けられて
輝かしい高校生活が
不意になってはいけない。
ここは下手に、下手に対応
するという事が、大人というものだろう。

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