文献：彼岸花についてのレポート

ーそれはとても綺麗な笑顔だった。
人じゃない、なんてみんな忘れてしまったかのように笑顔で迎えていた。
俺もその一人さ。
人じゃなくったっていいさ。
俺だって相手の顔とかは気にするさ。
問題なし、だ。
可愛いしスタイル良いし性格はみんな知ってることだし。
だけど、だ。
リコリスが自分を選ぶとは思わなかった。
（そりゃあ選んでくれるというなら嬉しいことこの上無い事だが。）
いや、でも、初めてここに来た時とかは「そこに居ただけ」で話した事も殆どなかったのに…。
高嶺の花、だと思っていた。
リコリスの後ろで町の男達が羨ましそうに木陰から見ているがリコリスは知らない（エネルギー的な関係で知覚できる範囲を絞っている）。
で、その中の一人が後ろに押されたのかこちらに倒れてきてリコリスを押すようにぶつかり…。
意識はそこで途切れた。
ただ、ベッドの上で目を覚まし、起き上がって真っ先に視界に入ったのは男軍団
（さっきの木陰の+新しい男五人位）
だった。