ワタシノタイヨウ
私は黙っている事が出来ずに…


『もしかして、ユウ君の事が関係してますか…?』


その言葉で窓の外を見つめていた彼の顔が私の方へ向いた。


少し驚いた顔をしていたが、すぐいつもの表情に戻り、


「なんの事だ…あいつは関係ない…」


そう言いながら、吸っていたタバコを揉み消した。


『あの…私、先生とユウ君が話してるの聞いちゃったんです。』


私は彼を真っ直ぐ見つめながら話した。


彼の動きが一瞬止まる。


『ユウ君って…サエさんの弟なんでしょ。』


「………」


彼は黙ったまま動かなかった。


『先生はユウ君が私の事好きなの知って、私を遠ざけようとしてるんじゃ…』


「別にそんな事関係ない…」


その言葉で胸がズキンと痛む。


(関係ないかぁ……)


涙が込み上げてきそうになるのを必死でこらえた。


『ホントに関係ない…ですか?
ユウ君からお姉さんを奪ってしまったって思ってるんじゃ…それで私のこと…』


もう一度確認するように訴える。


「……だったらどうなんだ。」


『えっ…』


(まだ先生は、過去に縛られているの…?)


彼はもう一度窓の外に視線を移し太陽の光に目を細めた。


「あいつには辛い思いをさせた…つぐなえるならつぐないたい。」


彼は辛そうな表情でうつむくと、ぐっと歯を食いしばり、握りしめた拳でおでこを何度か叩いた。



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