ワタシノタイヨウ
そんな彼の横顔を見つめながら、私は穏やかな声で言う。


『あれは事故です。先生のせいじゃない。ユウ君だってきっとわかってくれます。』


私はそっと微笑んで見せた。


それをちらっと彼は見て、


「たとえ事故だったとしても、オレはあいつを守れず、自分だけ生き残ったんだ。神尾にサエを返せって言われて、やっぱり…オレだけ幸せにはなれない…」


(だから私を遠ざけようと…先生の気持ちもわかるけど…でも…)


「せめてあいつには幸せになってもらいたい…」


『でもっ…私が好きなのは…』


私の喉はカラカラに渇いていて、上手く声が出ない。


そして、私の言葉を遮るように彼は言い放った。


「オレはお前の気持ちに答えてやる事は出来ない…」


胸が苦しくて目頭が熱くなるのがわかる。


「だから…オレなんかにつきまとうより学生らしい恋愛を…」


『学生らしい恋愛って何!?人を好きになるのに、らしいとか関係あるんですか…』


今度は私が彼の言葉を遮るように話す。私は必死に自分の気持ちを言葉に出した。


『自分の気持ちは私自身で決めます。先生が私の事遠ざけても、私の気持ちは変わらないから!』


「………」


少し興奮した私はおもわず立ち上がった。


そして彼の横顔を見つめる。


しばらくして、彼がポツリと呟いた。


「人の気持ちはいつか変わるよ…だから……オレはやめとけ…」


『でもっ、私の気持ちは変わらない!』


私は真っ直ぐ、そしてはっきりと答えた。


『私は先生が好き。私が先生の太陽になる。ずっと隣で笑っているって決めたから。』


彼は私の方を向き目を見つめ、


「オレにはお前は眩しすぎる…」


そう呟くと目を細め切ない表情で力無く微笑んだ。



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