ワタシノタイヨウ
なんだかんだで、あっという間に夏休みも終わり、新学期が始まった。


「カスミ〜おはよう!」


『ツキコ、おはよっ。この前は、ありがとね。』


ツキコは一週間ほど前にこちらへ戻ってきてて、真っ先に会いに行って話しを聞いてもらっていた。


私はツキコの顔を見て安心したのか泣いてしまい、でもそんな私を彼女はいつものように、優しく受け入れてくれた。




彼はと言うと…


やはり、私と必要以上には話しをしてくれない。


学校が始まってからもそうだった。最近は資料室にいるようになったので、私はめげずに何かしら用事を考えては、彼に会いに行っていた。



『先生こんにちは。』


ドアを開け声をかける。


私の声だとすぐわかるようで、ちらっと後ろを振り返り、


「何か用か…」


ぶっきらぼうに言うと、すぐ机に向かってしまう。


『今日の授業でわからない所があったんですけど…教えてくれますか?』


私は遠慮なく彼に近づくと、カバンから教科書を取り出す。


「どこだ。」


そう言って教科書に目を移すけど彼は私を見て話さなかった。


そして一通り説明が終わると、


「わかったら、もう行け。」


そう言って彼は仕事のほうへ意識を戻してしまう。


私はめげずに何か話しをしてみるけど、


「仕事の邪魔だ。部活あるだろ。さっさと行け。」


と冷たくあしらわれてしまっていた。


私は小さくため息をつくと、


『わかりました…また来ます…』


ペコリと頭を下げ部屋を出た。


(私負けない…!)



そんな私の背中越しに、彼も小さくため息をついていた。



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