ワタシノタイヨウ
始めぽつぽつと降っていた雨は、やがてサーっと音を立てて降り出す。


私はベンチに座ったまま雨に打たれていた。肌にあたる雨がなんだか心地よかったから……


（このまま、この雨に溶けて流されちゃいたいなぁ…）


泣き続けている空を見上げ、顔に雨を受けながら私は呟く。


『サエさん…私ね、先生に嫌われちゃった…やっぱりサエさんには敵わないのかなぁ。』


私の身体は頭の先から足の先まで全身びしょ濡れになっていた。


雨のお陰で、いま自分の目から涙が出ているのかさえ解らない。


なんだか自分の状態が可笑しくてフフっと少し笑いながらうつむくと、足元に水溜まりが出来ている事に気づいた。


私は子供のように、水溜まりに足をつけて、ぴちゃぴちゃ遊ぶ。


すると……


「鈴原！」


声のする方を振り向くと、そこには傘をさして走って来る彼の姿が目に入った。


「お前こんな雨の中、何してるんだ。風邪引くぞっ！」


息を切らしながら彼は私の目の前まで来ると、びしょ濡れの私に傘をさす。


（なんで…先生……）


私はどんな顔をしたらいいのか解らず、うつむいたまま何も言わなかった。


「…びしょ濡れじゃないか。とりあえず中に戻ろう。」


彼はとても優しい声で言うと、私の手をそっと取った。


でも私はその手を勢いよく振り払う。


『もう私にかまわないで下さいっ…。』


「………」


私に傘をさしているため、彼も全身びしょ濡れになっていた。


『なんで私の前に現れるの…もう会わないって言ったじゃないですか……』


私は震える声で呟く。
まだ気持ちの整理がついていない私には、これ以上彼の姿を見ているのは辛かった。


すると……



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