ワタシノタイヨウ
放課後になるまで彼の姿を見る事はなかった。


ホントに昨日の事は夢だったんじゃないかって不安になる。


はやる気持ちを抑えながら、私は彼の仕事部屋へ向かおうと教室を出た。


その瞬間私は誰かとぶつかる。


『あっ、ごめんなさい。』


振り返るとそこにはユウ君が恐い顔で立っていた。


(あっ、まずい…)


昨日ユウ君との約束をすっぽかした事をすっかり忘れていた私は、思わず目をそらす。


「先輩どこ行くの…」


声でユウ君が怒ってる事はすぐわかった。


『えっと…あのぉ…』


目を泳がせながら、しどろもどろしている私を見て、ユウ君は大きくため息をつく。


「昨日はどうしたの…?」


さっきより少し優しい声で言うと私の顔を覗き込んだ。


私はユウ君の目を真っ直ぐ見る事はまだ出来なかった。


そんな私を見て何かを察したのか


「ふ〜ん、そうゆう事…あいつと上手くいったんだ……」


『えっ…』


思わず顔を上げユウ君の顔を見つめると、とても寂しそうな顔をしていた。


『あのね…』


ユウ君は私の話しを遮るように


「まあ、こうなる事はわかってたから。想定内ってやつ…」


そう言って少し引きつった笑顔を見せる。


「まだ諦めたわけじゃないから。覚悟しててよ。」


『えっ…!?』


髪の毛をクシャっとかき上げニコッと笑うと、私の肩をポンっと叩いて歩き出した。


その後ろ姿を複雑な気持ちで見つめていると、ユウ君は急に立ち止まり振り返る。


「あっ、部活はちゃんと来いよ」


少し睨みながらそう言うと、ユウ君は手を挙げて去って行った。



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