ワタシノタイヨウ
車内には洋楽らしき音楽が流れている。


私は落ち着きなく、車内をキョロキョロしていた。


「…珍しいもんは無いぞ。」


横目でちらっと私を見ると、落ち着けと言わんばかりに、私の頭を小突いた。


『アハハ‥‥』


ごまかすように笑って見せる。


(車の中ってこんなに狭かったっけ…)


彼との距離が思ったより近くて、ますますドキドキしていた。



「お前、腹減ってない?」


『うん、部活の後だからお腹ペコペコだよ〜』


「じゃあ、なんか食いに行くか」


『えっ、ホント!?』


「あぁ、おごってやる。」


彼はニヤリと笑うと、車は帰り道から少しそれて走る。


私は初めての学校以外のデートに嬉しくて、どこに連れて行ってもらえるのかワクワクしていた。


彼が連れて行ってくれたお店は…ラーメン屋だった。


もう少しおしゃれなお店を期待していた私は、少しがっくりくる。


「ここのラーメン、すごくうまいんだよ。」


私の隣りでニコニコしている彼を見ていると、彼と一緒ならどこでも同じだなぁって思えた。


彼と一緒にいられる事が私にとって一番大切だから…


「最近見つけた店だから、まだ誰にも教えてないんだ。連れてきたのカスミが初めてだよ。」


そう言って無邪気に笑う彼を見て私は嬉しくなる。


二人同じ物を食べながら、私のたわいのない話しを彼は楽しそうに聞いていた。



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