ワタシノタイヨウ

「じゃあ、また明日。」


『うん、帰り気をつけて…』


私は彼に手を振りドアを閉める。

そして走り去る車の後ろ姿に向かって、何度も手を振った。


(はぁ、キスまだ馴れないな…)


何度かしていたけど、私の心臓はその度に飛び出しそうなくらいドキドキ言っている。


でもキスするとやっぱり嬉しくて顔が自然とにやけた。


「あれっ、やっぱりカスミか。」


家の門に手をかけた時、後ろから声がした。


振り返るとタツミが手を振りながら歩いて来る。


『タツ兄…』


「カスミも今帰り?さっきお前車から出てきただろ。年上の彼氏出来たんかぁ。」


ニヤニヤしながら私の顔を覗き込む。


『えっ、違うよ。遅くなったから先生が送ってくれただけ。』


「へぇ〜お前先生と付き合ってんの。なかなかやるなぁ〜。」


『ちょっと人の話し聞いてる!?
送ってもらっただけだって!』


真面目に聞かないタツミに、私は必死に説明する。


(もしかしてキスしてるの見られたのかな…)


先生の立場が悪くなるんじゃないかと不安になり、私は泣きそうになった。



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