ワタシノタイヨウ
彼は、そんな私の笑顔を眩しそうに見つめていたが、急にハッとして顔をそむける。


「オレに何か用があったんじゃないのか?」


タバコの灰を吸い殻ケースに落としながらたずねた。
私は急に聞かれたので、


『あっ、えっと‥』


なんて答えようか慌てて考えていると、そんな私を見て、


「最近オマエ、オレの後つけてない?」


と聞いてきた。


『えっ!』


私は予想もしてない問いかけにびっくりして固まってしまった。


(ヤバイ‥バレてた!?)


私は恥ずかしくて顔がどんどん熱くなるのがわかった。

そんな気持ちを知ってか知らずか、彼は追い打ちをかけるように、


「だから、今日オレがここにいるってわかったんだろ。ストーカーさん。」


と冗談っぽく言い、タバコを吸いながらニヤリと笑った。


図星の私は、彼の隣りでひとりあたふたしていると、それを彼は横目で見ながら、クスクス笑っていた。



一瞬私の頭の中は真っ白になり、なんて答えようか慌てたけど、彼がそんな冗談を言うとは思わなかったので、逆に気持ちが楽になり少し緊張も溶けた。


あたふたしていた私も、いつの間にか一緒になってクスクス笑っていた。


私は壁のあった彼の心に、少し近づけた気がした。


(よし、今ならこの前の事聞けるかも…。)


とりあえず私は、人違いじゃないかと言われた事について聞いてみようと思い、口を開こうとした。



*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
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