ワタシノタイヨウ
夏に3年生が引退してから、私達2年生が中心となって部活をしている。


もともと厳しい部ではないので、相変わらず1年生と和気あいあいとした雰囲気で部活は行われていた。




『はぁ〜疲れた。休憩っ!』


少し寒くなってきたが、やっぱり動くと汗をかく。


タオルで汗を拭いていると、ユウ君がやって来た。


「先輩、相変わらず体力ないね」


いつもの人懐っこい笑顔でユウ君が私に話しかけてきた。私はその笑顔に少しドキッとする。


ユウ君とはあれから変わらず仲良くしていたけど、やっぱり以前より意識してしまう。



「あいつとは、うまくいってるの?」


不意にユウ君は私の顔を覗き込むように聞いてきた。


『えっ…うん……』


私はなんて答えていいかわからずとりあえず頷く。


「そっかぁ、まだつけいる隙はなさそうだなぁ。」


ユウ君は空を見上げ、ハハハっと残念そうに笑った。


「まあ、なんかあったら相談しろよ。愚痴くらい聞いてやる。」


少し照れながらも偉そうに言うと私を見てニヤっと笑った。


そして私の肩を叩くとコートに戻って行く。


私はユウ君の後ろ姿をぼんやりと眺めていた。



「鈴原、コート入れ〜」


今井先生の大きな声に呼ばれ、私はハッと我に返り練習に戻る。


「何ぼけっとしてんだ。」


今井先生は私の頭をコツンと軽く叩き微笑む。


『すいません…』


あまり今井先生と関わりたくない私は、さっさとコートに戻って練習に加わった。


最近の今井先生はなんだかおとなしい。それが逆に不気味だった。



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