ワタシノタイヨウ
部屋に入ると、いつものように机に向かって仕事をしている彼の背中が目に入る。


「遅かったな。」


私が近づくと彼は仕事の手を止め振り返りながら言った。


『あ…途中で今井先生に会って、遠回りしてたから…』


私は彼の隣りに座る。急いで来たので少し息が上がっていた。


「そっか…大丈夫か。」


『うん、平気。』


心配そうに見つめる彼に微笑む。


ふと段ボールの山が目に入った。


『先生、また段ボール箱増えてない?』


いくらか整理して減っていた段ボール箱がまた増えていた。


「ああ、今日またいくつかここに運び込まれたからな。」


『んじゃ、私が棚にしまってあげるよ。これじゃ狭くて邪魔だもんね。』


そう言ってカバンを椅子に置き、私は立ち上がる。


「悪いな。これ終わったらオレもやるから。」


『うん。』


私は段ボール箱の前にしゃがみ込むと、ベリベリとガムテープを剥がし始める。


「右から3番目の棚の真ん中あたりが空いてるから、適当に並べといてくれればいいからな。」


『はぁ〜い。』


私は箱から何冊か取り出しては棚に並べる作業をしばらく続けた。



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