ワタシノタイヨウ
「怪我したら危ないだろ。無茶な事はするなよ。オレに頼れ。」


唇を離した彼はさっきとは打って変わって、真剣な顔で私を真っ直ぐ見つめて言う。


私はコクンと頷いた。


彼はそっと私の頭を撫で、そのまま髪を弄ぶように触れる。


「髪…伸びたな。」


出会った頃は肩までなかった髪が今はだいぶ長くなっていた。


私の髪の毛は少し茶色かかった癖のある猫っ毛。


子供っぽく見られたくなくて、私は髪を伸ばしていた。



髪に触れていた彼の手が、私の首筋に移動する。


そして…もう一度私たちの唇は重りあった。


さっきより、甘くとろけるようなキスの後、彼の唇はそのまま耳元へ移動し…首筋へと下りてくる。


(先生っっ!!!!)


突然の出来事に私はパニックになった。彼の息遣いかすぐそばで聞こえて私の心臓は破裂しそうなくらいドキドキ言ってる。


(私このまま先生と……)


彼の温もりを感じながら、どうなっちゃうんだろうと、ぼーっとした頭で考えていると、扉がノックされる音が聞こえてきた。


「青山先生いますか〜」


(うっっ、この声は……)


扉の向こうの声の主は、反応がないのを確かめると、再び扉をノックする。


「青山先生〜〜いないの〜」


「ちっ…邪魔が入った…」


彼は私の肩にガックリと頭を乗せため息をつくと、横目で私を見て微笑んだ。


私はほっとしたような残念なような複雑な笑顔を返す。



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