ワタシノタイヨウ
「ねぇ、おまえら本気なの?」


髪を触っていた手は、顎のラインをなぞるようにゆっくり移動し、頬に触れる。


その指の感触に寒気を感じた私は反射的に今井先生の手を払い落とした。


そして喉の奥から声を絞り出すように口を開く。


『…なんでそんな事聞くの…』


「だっておまえら教師と生徒じゃん。どうせ遊びなんだろ?」


『そんな事ないっ!』


私たちの事を否定されたように思えて、私は今井先生の瞳を真っ直ぐ見つめ言い返した。


そんな私を今井先生は冷ややかな目で見つめる。


「どうせ、いい成績取りたくて
青山先生騙してるんだろ。それともお前が遊ばれてるのかな。」


『違う!!』


ニヤリと笑う今井先生に向かって私は首を左右におもいっきり振りながら叫んだ。


『青山先生は、今井先生みたいに生徒騙したりなんてしない!
私だって教師だから好きになったんじゃなくて、青山先生だから好きになったの!だから…』


「おまえら見てると、イライラするんだよっ!」


=ガシャン=


隣りにあった机をおもいっきり蹴りつける。


部屋には大きな音が鳴り響き、そのあと静寂が部屋を包み込んだ。


そしてその静寂を破るように、
先に口を開いたのは今井先生だった。


「おまえらの関係を知ってから、ずっと観察してたよ。きっといつかボロを出すと思って。」


『なんでそんなこと…』


「はっ、だっておまえら生徒にとって教師は、いい大学へ行く為の道具にしかすぎないだろっ!」


『そんな事ないっ。』


私が言い返すと今井先生は、再びゆっくり私に近づいて来た。



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