ワタシノタイヨウ
=ガチャガチャ、ガラッ=


乱暴に鍵を開け、勢いよくドアが開かれる。


彼が息を切らせて部屋へ飛び込んできた。


「カスミっ!」


私は彼の姿を見て、少しほっとしたのか涙が込み上げてきた。


「よくここだってわかったね。」


今井先生は慌てることなく、むしろ笑顔で彼に話しかけた。


今井先生に捕まって涙を浮かべる私の姿を目にすると、彼は今まで見たことのないくらい恐い表情で今井先生を睨みつけた。


「彼女がなかなか来ないから下駄箱へ行ったら、預けた車の鍵が落ちてて…その時ふと思い出した…視聴覚室の鍵が戻ってなかったのを…それで嫌な予感がして…」


彼は怒りを抑えるように静かに喋る。


「ふ〜ん、なかなかいい勘してんね…」


ニヤリと笑うと私の肩に顎を乗せ頬を擦り寄せた。


「‥っ!!あんた何してんだよ。
カスミを今すぐ離せっ!」


いつもより低い声で怒鳴り付けると、彼はツカツカと真っ直ぐ私達の方へ向かって歩いて来る。


『先生……』


私は今井先生に押さえ込まれながらも、必死に彼に向かって真っ直ぐ手を伸ばした。


彼も私の手を掴もうと手を伸ばしたその時…


「はぁい、ストップ。」


あと数センチで彼に届くところで伸ばした私の手を強引に戻す。


彼は再び今井先生を睨みつけると勢いよく私達に近づいた。


その瞬間、今井先生は彼の目の前に、携帯に保存された私達のキスしている写真を彼に見せる。


それを見た彼の歩みが止まった。


「青山先生〜生徒とこんな事しちゃまずいんじゃないのぉ。」


ニヤニヤ笑いながら今井先生は、携帯を彼の顔に近づける。


彼はじっと写真を見つめると大きく息を吐いた。



「だから何?」



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