ワタシノタイヨウ
冷たい眼差しで今井先生を真っ直ぐ見つめると、彼は冷たく言い放つ。


それを見た今井先生は少し焦ったように言った。


「だからっ!こんなの見つかったら、あんたクビでしょ。この子だってどうなるか…」


今井先生の言葉を遮るように彼が言い返す。


「別にオレはどうなってもいい…でも…彼女を傷つけるような事は許さない。」


静かだけどはっきり決意のこもった言い方だった。


彼の迫力に今井先生は少したじろぐ。でもすぐいつもの表情に戻ると私の顎をくいっと持ち上げた。


「青山先生さぁ、この子の事本気なの?利用されてるだけかもよ」


一瞬辺りが静まり返る。


「どうゆう意味だ。」


『私利用なんてっ…』


私が口を開くと今井先生は私の口を手で塞いだ。


「ほら、いい大学入る為に甘えたふりして近づいてきただけかも。それに他に男いるかもしれないじゃん。神尾とか。」


私は必死に否定しようと声を出すが、塞がれた口からはうめき声しか聞こえない。


彼は私の瞳をじっと見つめた。


(先生っ、違うよ!)


声が彼に届かないとわかった私は彼の瞳を真っ直ぐ見つめ返す。


彼は優しく微笑むと


「オレ彼女に本気ですよ。それにカスミを信じてる。…でも結果、騙されてたとしても構わない。
彼女といる事は自分で望んだ事だから…後悔はしない。」


私の頬に涙がこぼれ落ちた。


彼の暖かい気持ちが心を包み、私の不安を消してくれる。


すると今井先生の体が微かに震え出した。


「バカじゃねぇの…彼女を信じてる?騙されても後悔しないだと?信じてたからこそ、裏切られた時どんだけ辛いか知らねぇから、きれいごと言えるんだよ!」


感情をむき出しにした今井先生は部屋中に響き渡る声で叫んだ。



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