ワタシノタイヨウ
第十話 私の居場所
今井先生の事が落ち着き、私たちは穏やかな日々を送っていた。


あの日、今井先生は私たちに過去を打ちあけてくれた。


人それぞれ、人には知られたくない過去が存在する。


それによって、苦しんだりもがいたりして人は生きている事を、私は改めて知った。


でも、過去は悪いことばかりではないと私は思う。


その過去があるからこそ、私は今彼と出会い、一緒にいる事が出来ていると信じているから…




あれから季節は移り変わり、頬に触れる風は以前より冷たさを増していたけれど、私の心は温かかった。


「カスミ、もうすぐクリスマスだねぇ。」


ツキコが嬉しそうに笑顔で私に寄り添う。


『あっそっか。もうそんな時期かぁ…』


「何言ってるの。先生と初めてのクリスマスでしょ。」


『そだね。』


私は苦笑いを浮かべる。


(まだ約束とかしてないからなぁ)


「楽しみじゃないの?」


『もちろん、楽しみだよ!ただ…その話は、まだ出てないし…』


気にはなっていたけど、自分から言い出していいものか分からず、まだ何も話していない私。


「大丈夫だよ。ちゃんと考えてくれてるって。」


『そうかな…?』


「そうだよ!」


ツキコは私を元気づけるように背中をバシッと叩いた。




放課後−−−


いつものように私は彼のいる部屋へ足を運んだ。


『先生、おじゃましま〜す』


ドアを開け中に入ると、彼とは別の人影が見えた。


(ん?誰かいる。まずいかな?)


誰だろうと私は首を伸ばし覗く。


そこには、現国の中西ユリ先生が彼と楽しそうに会話をしていた。



彼女は26歳でかわいらしい雰囲気の先生で、男子から結構人気があった。


(むっ、なんか楽しそうなんですけどっ!)


ちょっとムカッとした私は、踵を返し部屋を出ようとする。


すると−−−




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